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身心脱落とは、執着から離れ、身も心も楽になるということ

みなさま。こんにちは。河口智賢です。オンライン坐禅会第18回目にご参加いただきありがとうございます。

一気に寒くなりましたね。先週はまだ朝の5時は朝焼けが綺麗だなと思ったんです。今朝は同じ5時ですがまだ真っ暗でした。1週間で季節がこんなに移るのだと感じました。

こうしてオンライン座禅の時に、普段との違いを意識的に感じることが、今この瞬間への気付きに繋がると思います。

例えば、坐禅を組むときもそうです。これまでご参加いただいた方は前回、今回と座禅を組んでみていかがだったでしょうか。集中できたか、または足の痛み、呼吸の深さ、眠さも全て違うはずです。やはり無常と言いまして、私たちの生きているこの世界というものは、同じ場所に留まって形がずっと変わらないものはないんです。私たちの身体も先週とは違う。お日さまの昇り方も違う。いつもと違うということ、その“今ここ、この瞬間“を感じていただく時間を一緒にお過ごしいただければありがたいなと思っています。

いつもご質問を頂戴いたしまして、それにお答えさせていただくような形でお話をしています。今回は、

“有名な一節、「仏道をならうというは自己をならうなり 自己をならうというは自己をわするるなり…」という文章に惹かれて毎日考えています。自己を忘れるということは、自我を捨て自然の一部であることや、本来無一物であることを感じて日々を送ること、そう印象を持ちますがいかがでしょうか。“というご質問をいただきました。

そのことについて触れながらお話をさせていただきたいと思います。




曹洞宗太本山永平寺の開祖、道元禅師が書き遺された書物にとても大切な言葉があります。

仏道をならうというは 自己をならうなり

自己をならうというは 自己をわするるなり

自己をわするるというは 万法に証せらるるなり

万法に証せられるというは 自己の身心および他己の身心を脱落せしむるなり

仏道をならうというは 自己をならうなり

お釈迦様はこの世の中は苦しみの中で生きていると気づきました。

以前も少し触れましたが、四苦八苦という言葉があります。

生きること、老いること、病気になること、死を迎えること。

それぞれに苦しみが存在します。

また、愛する人と別れること、憎しみや怒りの感情をむけられること、欲しいものが手に入らないこと、目や耳や鼻や舌など身体の器官から感じることなど、

それらの苦しみの中から、実践を重ねることで日常の小さな幸せに気づいていく道を仏道と言います。

坐禅で瞑想することは、まさに仏道を実践する一つです。

そして坐禅を実践する中で、自己をならう、つまり自分を探求することになります。自分を知ることは自己と見つめ合い、一体何に向かい追いかけているのか、その今のありのままの姿に気づくということです。

自己をならうというは 自己をわするるなり

自分の今のありのままの姿に気づくということは、自己を忘れることです。

ものごとに捉われていたら一旦その捉われから離れてみましょうということです。

自己をわするるというは 万法に証せらるるなり

万法(ばんぽう)というのは、この世のすべての真理です。

天地全てのバランスと、縁起の中で互いに支え合い生かされているということがこの世界の真理です。証するとは、その真理を証明すること、つまりそれを悟ることです。

自己を忘れるということは、囚われから離れた自分に気づき、俺が俺がという我をなくすことです。自分自身もこの自然の中の一部で、ひとりだけで生きていくことはできないんだなと、そういうことに気づくことがつまり悟りです。

万法に証せられるというは 自己の身心および他己の身心を脱落せしむるなり

自分が自然の中の一部だと気付くということは、身体も心もどちらも欠けては存在できない。“自分“という存在は、相手がいて私がいるという関係性、天地全ての縁起があるから証明できるわけです。

脱落というのは、全てのことわりに気づき、我見や捉われから開放されてスッキリと清々しくなるということです。

俺が俺がと、全てを抱え込まずに、今背負っている“我”という荷物を一旦降してしまえばいいんです。少し体も心も楽にしてみて、周りの環境であったり自分が持っている執着という荷物から離れてみる。そうすることによって、自分本来のあるがままの姿というものを見ることができるはずです。

全部荷物を捨てろというわけではないです。一旦そこから離れてみて、自分にとってこれが必要なんだなという荷物であれば、また背負い直せばいいんです。 ちょっとこれ重すぎたなと思ったら、置きっぱなしにしてしまって誰かに任せることも必要ですよね。

自分一人でなんでもしようと思ったってできないです。いかに周りとの関係性の中で生かされている自分と気づいていくか。それが大切です。執着から離れ、身も心も楽になる、そういったとても大切な言葉なんです。

長文をお読みいただきありがとうございました。

本日もよい1日を お過ごしください。

来週9月27日の日曜日はお休みさせていただきます。

次回は、10月4日になります。

みなさまのご参加心よりお待ちしております。

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