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愚痴を聞くときの心構えについて

みなさま。こんにちは。河口智賢です。今回もオンライン坐禅会にご参加いただき誠にありがとうございます。

毎回坐禅で違いを感じられることで季節の移り変わりを体で感じています。今日は息をするたびに体の中に冷たい空気が流れ込み、指先にめぐりながらそれが暖かくなっていくことを感じられました。

今、日本では「鬼滅の刃」という映画が大ヒットしています。ちょうどオンライン坐禅会があった先週の日曜日に息子と2人で観に行ってきました。この映画は大正時代に鬼と戦うことをテーマにしています。その中で頻繁に出てくるのが呼吸です。そして映画の中では命の儚さもしっかりと伝えられています。普段と違ったものから学ぶことも新たな気づきですね。

あれから毎日息子は呼吸の特訓をしていますが…。




さて、今回いただいたご質問ですが、「愚痴を聞くときの心構えについて」です。

愚痴を聞くときってなかなか心苦しくなるというか、胸が痛くなることもありますね。

悪口やマイナスなことを聞くと聞いている自分もその方向に引っ張られてしましがちになります。楽しい話を聞けば何故かこちらも楽しくなってきたり、自分自身もどちらの気持ちも必ず味わうものです。一旦今自分がどういう状況か感じることが必要です。

私がとても尊敬している青山俊董老師が修行僧に向けた言葉に「修行というのは無我に至ることである、つまり我をなくすということです。氷のように凝り固まった自我を教えの光にあてて水に溶かすことが重要である」と仰っていました。

同じ体積の氷と水をコップに入れようとします。氷は角がたってコップに入らないどころか、無理矢理入れようとすればコップが割れてしまします。しかし、水はどんなコップでも割らずに入っていきます。

話を聞いてくれる相手にとって、自我が凝り固まっていれば、氷のように時に相手を傷つけ嫌な思いをさせてしまうかもしれません。

相手を思いやる心と、教えという光で自我の氷を溶かすことで、何も傷つけずに流水のように相手の心に沁み渡ります。

私たちの心というのは、自分の我によって、いろんなところで凝り固まっていきます。それはこだわりであったり、執着だったり。自分はこう思うからそれは違う。そういう心で人に言葉を向けたりしたら、それはもちろん相手にとって硬い言葉だから受け入れることはできないかもしれない。逆に聞く側の人間も、それは違う、私はこうだと思って聞いていたら 自分の心にはその言葉が痛くて入ってこない。

聞く方も、喋る方も、その言葉が溶けて柔らかいものになり、相手の心にそして自分の耳にすんなりと入ってくるようにと心がけていけば、相手の心にも、自分の耳にも入ってくるものです。

溶かすその光というのは、教えあったり、人の支えであったり、優しさであったりと。自分だって愚痴のひとつくらいこぼすものだと、余裕を持って耳を傾ける心が持てれば、愚痴を言う相手の氷もあなたの優しい温もりで溶けていくのではないでしょうか。

私自身、東日本大震災の時に、無我夢中で現地に行って、瓦礫撤去とか何日も行いました。ボランティアセンターも皆活気であふれていました。

誰かのためにと意気込んであるお宅の瓦礫撤去に伺ったときのことです。そこにご家族な方はいるのですが、誰も私と話をしてくれません。一日中そこのお宅で作業を行いましたがとうとう最後でようやくありがとうと言葉をいただけました。

私はその時、自分はこの家族のためにと思い作業をしたのに何故もっと喜んでもらえないのかと歯痒さを感じました。

しかしそこで気付かされたのは、被災された方からすれば本当に大きなものを失って毎日毎日いろんな人が来ての繰り返しです。感謝の気持ちももちろんあるに違いないけれども、 全て失ったその中で、その気持ちを考えたら嬉しいけれどもそれを素直に受け入れることができないし、心を表すことが出来ないとか、それはもう全く計り知れないことです。

自分が自分がというふうに押し付けるのじゃなくて、そこからいろんな人の話を聞こうと思って傾聴 つまり、相手の話を聞くことに徹しました。

お寺に集まったお菓子を持って、お茶を入れてただ話を聞く。これも最初から受け入れてくれることも少なかったです。でも何度も何度も足を運ぶうちに、心開いて話をしてくださる方がいました。そういった中で少しづつ溶けていくことを感じたんです。

氷が水になっている。やはり人と人とがこうして寄り添うということの大切さを学びました。

和敬静寂という言葉があります。お互いがお互いの存在を認め、支え合い、個性を引き立たせながら一つの形が生まれていく。ぶつかり合うのではなくて寄り添い氷が水になる。そういった中で生きていくことが大切だと感じています。

私のこの話もみなさまがこうして耳を傾けて聴いていただいてありがたいなといつも思っています。只々感謝です。

本日もありがとうございました。良い1日をお過ごしください。

次回ご参加心よりお待ちしております。

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